ばあちゃん新聞スポンサー募集中(企業様・個人様)!

ばあちゃんへの恩返し

 小学生の頃、いつもばあちゃんの家に帰っていました。僕のばあちゃんはとにかく温厚で笑顔が絶えない人でした。正月など親戚一同が集まることが大好きで、大人数で遊ぶ孫や世間話をする娘を、いつも優しく見守り微笑んでくれていました。面倒見が良く、「さつまいもの天ぷらが食べたい」と言えば作ってくれたり、「今日泊まりたい」と言えば泊めてくれたり。無理難題によく応えてくれました。そんな怒ったことなんてないばあちゃんに1度だけ、怒られたことがあります。

椅子に座り微笑むばあちゃん。

僕は小学生以降、自分の想いを伝えることが苦手で、生きづらさを抱えていました。誰にも理解されず「自分の想いを伝えるのはダメなこと」と感じるように。その積み重ねで、自分の存在意義がわからなくなりました。それを救ってくれたのが、ばあちゃんでした。

 小学4年生の頃、自殺をしかけました。学校から帰宅するなり、2階へ駆け上りベランダから飛び降りようとしました。そんな僕を勢いよく部屋に引っ張り、叫びながらお尻を何度も叩いて怒りました。「何を馬鹿なこと考えとんや!」「そんな馬鹿な孫に育てた覚えはない!」クレヨンしんちゃんによく出てくる「お尻ぺんぺん」のよう。その時、「怒られて悲しい」より「初めて怒られたことへの驚き」の方が強かったです。ばあちゃんが怒ってくれたのは、人生でこの1回だけ。ばあちゃんから、「どう自由に生きようが良い、命を自分から捨てることだけはするな!」と強く言われているように感じました。この日の光景を今も鮮明に覚えてます。ばあちゃんは3年前に他界しました。いつかばあちゃんのお墓の前で「あの時怒ってくれたから、今の僕があるよ」と胸を張って伝えられるように、僕は使命を全うし続けます。

本をよむばあちゃん。

條 晋太朗|シニアフォトクリエイター
徳島県出身、兵庫県在住。作業療法士として医療介護に従事の傍ら、2020年に認知症関連の任意団体を設立。2023年「老いを楽しめる社会の創造」
ばあちゃん新聞編集部

ばあちゃん新聞編集部です。日本全国のばあちゃんたちの「暮らしのヒント」「生きる知恵」を全国にお届けします! 本家である紙の「ばあちゃん新聞」もよろしくお願いします!

関連記事

スポンサー
募集中!
投稿
募集中!