サクラダばあちゃんプロフィール
年齢:70代
元職業:銀行員
趣味:薔薇庭園、孫とおしゃべり、パン作り
大家族で迎えた初盆
今年のお盆。わが家は久しぶりに親戚一同が集まり、祖父母の家はにぎやかな笑い声に包まれました。総勢約二十人が居間に集まり、食卓には手作りの煮物やそうめん、スイカが並びます。まるで映画『サマーウォーズ』のような大家族の団欒。世代を超えて集まれることの幸せを感じる時間でした。そんな和やかな空気の中、話題は自然と「いま話題の生成AI」へと移りました。ChatGPTや画像生成AIのニュースをきっかけに、親戚たちが「仕事のやり方が変わるよね」「学生の勉強方法も変わってきそう!」とAIをめぐる話題に夢中になる私たちを、ばあちゃんは目を丸くして聞いていました。「へぇ〜!そがんとがあるとね」
と素直に驚くその姿に、僕はふと気になりました。
ばあちゃんの時代を変えたもの
「ばあちゃんの銀行員として働いてた時代にも、AIみたいに仕事を大きく変えたものはあった?」
そう尋ねると、ばあちゃんは少し考えてから答えました。
「そうねぇ、あ!FAXと電卓やったかねぇ」
当時の電卓は、いまのような手のひらサイズではなく、業務用の冷蔵庫のように巨大な機械だったそうです。計算できる桁数も限られていましたが、間違いなく計算してくれるだけでも革命的な存在だったそうです。「計算ボタンを押すたびに“ゴオォォン”て轟音が鳴ってねぇ。しかもすぐ熱くなるけん冷やしながら使いよったとよ」その光景を想像した僕たち孫世代は大笑い。「電卓が轟音!?」と信じられない思いで腹を抱えました。けれど同時に、今のスマホも50年後には笑い話になるのかもしれないと思うと、不思議な気持ちになります。
FAXがもたらした未来の予感
さらにばあちゃんは続けます。
「FAXはね、会社の中でも一部の人しか使えん貴重なもんやったと。紙を送れるって初めて見たときは、未来が来た!って」ばあちゃんは今でも鮮明に覚えているそうです。
僕たちにとってFAXはもはやほとんど使わない古い機械。でも、当時のばあちゃんにとっては「未来そのもの」だったんです。
僕の時代、そして未来へ
世代を超えた会話の中で、僕は気づきました。AIに驚く僕たちと、FAXに未来を感じたばあちゃん。その感覚はきっと同じだと。
「今の若い人たちも、将来は“昔はスマホってのがあってね〜”なんて言いよるかもしれんね」
とばあちゃんが笑うと、家族みんなが声を合わせて笑いました。未来を思うと不安もありますが、それ以上にワクワクします。技術は変わっても、人と人をつなぐ団欒の時間は変わらない。そう実感できるお盆のひとときでした。
あとがき
生成AIの登場に驚く僕たちと、FAXや電卓に未来を見たばあちゃん。時代ごとに「新しいもの」に対する驚きは形を変えても存在し続けています。技術は進化し、やがて笑い話になるかもしれない。それでも、家族で語り合い、未来を楽しみにする気持ちは普遍です。
元銀行員のばあちゃんが語ってくれた昔話は、僕たちに「時代の変化を笑って受け止める強さ」を教えてくれました。
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