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見えなくても感じるモノ

ばあちゃんプロフィール
藤田 恵美子(ふじた えみこ)
1953年(昭和28年)生まれ。72歳(2025年7月取材当時)。現在は専業主婦として、娘、孫の生活を支えている。

視力を失っても前を向く専業主婦・藤田恵美子さんの毎日

藤田恵美子さん(72)は、家族の衣・食・住を支える専業主婦。毎日、食事を作り、部屋を整え、普通の暮らしを営んでいるように見えるが、実は彼女の視力はほとんど失われている。
「見えなくても、見えるんだよ」
取材の中で何度も口にされたこの言葉には、恵美子さんの思いが詰まっている。もともと視力が弱かったという恵美子さんは、10年前に緑内障を患い、医師から「治療は難しい」と告げられた。それ以来、徐々に視界が奪われていく日々に、大きな不安を抱えてきたという。それでも、「家族を支えるのは私」と心に決め、見えにくくなった世界の中でも、できることを精一杯やってきた。キッチンに立つ姿も、洗濯物を畳む手元も、てきぱきと動いていて、「見えない」ことを感じさせない。
「なにか食べんね」「なんか飲まんね」
恵美子さんは、家族にいつも気を配り、何かと声をかけてくれる。面倒見のよさは、視力に関係なく、彼女らしさそのものだ。

大切な人との別れと、残された思い出

恵美子さんは、3年前に夫の一夫(かずお)さんを亡くした。最愛の伴侶との別れは、彼女の心に大きな穴を空けた。
「いっつも一緒にいたから、居ないとどう生きればいいかわからんかったよ」
夫の闘病中は、九州内を一緒にドライブしたり、病状に合わせて工夫を凝らした食事を作ったりと、毎日を丁寧に過ごしてきた。「最近は手抜きばっかりだけどね」と笑うその横顔には、寂しさと誇らしさが混じっていた。
「長く生きていると、どうしても別れが多くなる。でも、それって幸せなことでもあるの。お別れできるだけ、出会えて、繋がれたってことだから。思い出は、ちゃんと残るものよ。だから“出会いを大切にしなさい”って、孫たちにも伝えてるんです」

“季節を感じたい”という願い

最近は足腰が弱り、1人で外に出るのが難しくなってきたという。それでも、「季節を感じたい」と恵美子さんは言う。
「家の中でも気温や光で季節は感じられるんだけど、やっぱり外の風とか、お花の香りとか…そういうのを肌で感じたいの。孫たちと一緒に出かけて、同じものを見たり、感じたりして話すのが、今のいちばんの楽しみ」
「“また会いたいばあちゃん”になりたい」
取材の最後、恵美子さんがぽつりと語った目標は、実にシンプルで、あたたかい。

あとがき

株式会社うきはの宝インターン生 石川 泰叶(いしかわ たいと)です。今回は、自分の祖母である藤田恵美子さんに取材を行いました。いつもは何気なく話しているけれど、いざ取材という立場になると、どこかよそ行きの雰囲気に。お互い少し戸惑いながらも、とても楽しい時間を過ごしました。「ばあちゃんって、こんなにしゃべる人だったっけ?」と驚くほど、たくさん話してくれてびっくり(笑)。「“また会いたいばあちゃん”になりたいなんて、ちょっと恥ずかしいね」と言っていましたが、聞いていた自分も、なんだか胸がくすぐったくなるような、あたたかい気持ちになりました。

ばあちゃん新聞編集部

ばあちゃん新聞編集部です。日本全国のばあちゃんたちの「暮らしのヒント」「生きる知恵」を全国にお届けします! 本家である紙の「ばあちゃん新聞」もよろしくお願いします!

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