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時代を超えて、伝えたい記憶

ばあちゃんプロフィール
深谷 寿美子
95歳(1930年生まれ)
東京大空襲を経験し、戦後は焼け跡での暮らしや配給制度の時代を乗り越えた。夫が亡くなってからは、「自分の人生を楽しむ」ことを大切にし、孫たちとの海外旅行や日常の小さな楽しみを見つけながら暮らしている。家族にとっては、明るく元気で、人生を前向きに楽しむ存在。

はじめに

私のひいおばあちゃん、深谷寿美子さんは東京・恵比寿で生まれ育ちました。
1930年生まれの彼女は、15歳のときに東京大空襲を経験しました。街が焼け落ちる恐怖と、その後の混乱のなかでの暮らし。戦後は食べ物や日用品が不足するなかを懸命に生き抜き、やがて家族を持ち、現在は95歳を迎えています。
今回は、私のひいおばあちゃんに、当時の記憶と戦後の生活について語ってもらいました。

母の判断に救われて

今でも覚えてる。天現寺の大きな木の下で一晩過ごして、帰ったらもう焼けてたの。そしたら今の青山通りで電気屋さんを営んでた親戚が「泊まりにおいで」って言ってくれて、みんなで泊まりに行ったの。その日は、渋谷のあたりが空襲されたあの日だった。私と弟はお母さんに連れられて、線路では都電が燃えてるし、焼けてる家もあるし、炎に囲まれながら逃げたの。
私のお母さんはね、関東大震災も経験してるの。その時はみんなが大きな工場に逃げたんだけど、みんなの荷物に引火して、そこでいっぱい人が亡くなったの。だから、その日もみんなは代々木公園を目指して逃げたんだけど、お母さんはその反対側の青山墓地に逃げたの。そして、大きな石碑の陰で一晩越した。代々木公園の方に行った人たちはダメだったみたい。お母さんの教訓があったお陰ね。

割烹着姿の女性2人が映る古い写真

※ひいおばあちゃんとお母さん(曾祖母の母)の写真

掘っ立て小屋と芋畑の暮らし

自分の家の庭やなんかに防空壕を立てたんだけど、うちは賃貸の小さな家だったから、床下にお兄さんが穴を掘ってくれたの。いざとなったら隠れるか、大事なモノが焼けないようにみんな入れておいたの。でもね、結局全部焼けちゃって、防空壕開けたら、焼け残ったボロボロの布が出てきたわ。
布団なんかがあったから、しばらくは地下で過ごしてたけど、うちのお父さんが屋根職人で、お兄さんが工場で働いてたから、そういう作業には強かったの。焼け残った家とか、疎開して空き家になってるとか、そういうところから色々集めてきて、焼け跡に掘っ立て小屋を建てて住んでた。家の前の焼け跡も整理して、お芋の畑にして、自給自足生活もしてたのよ。

食卓の小さなごちそう

谷口: ちなみに母の味って言われて思いつく料理はある?
昔はねぇ、お父さんを立ててたから、肉屋に行っても、子供達にはコロッケ、お父さんにはカツ(コロッケ3つ分の値段)。お父さんにはおさしみを食べてても、子供達には別のおかず。全然食べてるものが違ったのよ。そういう時代に育ってるから、作る材料もないし母親の味っていうのがあんまりねぇ。なにが一番頭に残ってるかって言ったら「豚肉を入れたおぞうすい」。あれは美味しかった。あとは糠漬け、白菜…。漬物と雑炊ぐらいね。ふふふ。そうやって質素な食事ばかりだったけれど、今はみんなのお陰で美味しいものをたくさん食べられて、本当に幸せだわ。ありがたい時代になったものね。

ティーカップをもって笑うおばあちゃん

あとがき

こんにちは!うきはの宝株式会社でインターンをしております、かれんです。
普段のひいおばあちゃんは、とても明るくて元気な人です。足を怪我しても翌年には海外旅行に行ってしまうくらい、前向きでパワフル。そんなひいおばあちゃんが、戦争や戦後の暮らしについて話してくれると、「いつもの姿」とは少し違って見えて、胸に残るものがありました。
きっと、どのご家庭にも「大切にしたいおばあちゃんやおじいちゃんの記憶」があると思います。こうして言葉に残すことで、忘れたくない記憶が未来につながっていくのだと思います。もし身近な方の思い出を聞く機会があれば、どうぞ耳を傾けてみてください。きっとあたたかい宝物のような時間になるはずです。

海をバックにしゃがんでポーズをとる女性
ばあちゃん新聞編集部

ばあちゃん新聞編集部です。日本全国のばあちゃんたちの「暮らしのヒント」「生きる知恵」を全国にお届けします! 本家である紙の「ばあちゃん新聞」もよろしくお願いします!

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