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63歳。「愛情を最期まで届け続けたばあちゃん」福岡県八女市 農家 田中けい子

ばあちゃんプロフィール
田中けい子(タナカケイコ)63歳で永眠。1953年(昭和28年)7月10日生まれ。大分県日田市生まれ。結婚後は2人の娘に恵まれる。けい子さんエピソードを次女のみひろさんにインタビューさせていただきました。

忙しいのに愛情くれてた

丸屋:けい子さんについて教えてください。

みひろさん:とにかく働いているイメージ。自宅のことと、田んぼのこと(お米とお茶を作っていた)。 忙しいのに愛情はたくさんくれていました。当時は寂しい思いをすることもありましたし、THE昭和な家。男性を立て、嫁姑問題があったりと、決して良い家庭環境ではなかったですが、素直に私と姉が育ったのは、母の愛情があったからだと思います。

両親と赤ん坊の和やかなスリーショット

(表情からもみひろさんへの愛情を感じますね)

丸屋:けい子さんの苦労されたことは?

みひろさん:嫁姑問題。我慢するしかなかったのかもしれませんが、母は強かったと思います。小さい頃は何度も家出を試みて、車だと音がするので歩いて大分まで帰るつもりで手を引かれた覚えがあります。逃げたい気持ちはあったのでしょうが、結局何度も見つかり家出は失敗に終わりました。父にはアルコール依存症の時期があり、繰り返していました。家中にお酒を隠しては、過保護な祖母が探して渡すという暮らし。暴力・暴言などはなかったものの、その期間の仕事は母がするしかありませんでした。中学生の時に「別れていいよ」と伝えたこともありましたが、その気持ちはあるけど見捨てることはできないと情があり、別れきれませんでした。

きついのはもうイヤ

丸屋:けい子さんは闘病生活をされていたんですよね?

みひろさん: 母は肝臓がんでした。入院した時に心房中隔欠損症も見つかり、今まできつくなかったですか?と医師に言われました。働いたあとに寝込むことが度々ありましたけど、病院には行かず、薬に頼ることもなく、寝て自然に回復するのを待つだけでした。入院して手術をすると、採血でC型肝炎が見つかりました。治療をしても良くならず、肝硬変も合併しました。家族としては望みがあるなら治療を受けて欲しいと思うものですが、本人は「きついのはもうイヤ」と緩和ケア病院に入院しました。

闘病中でも笑顔を絶やさないばあちゃん

(闘病中でもそれを感じさせない笑顔)

緩和ケア病院に入院したものの周囲にいる人も先がなく、亡くなる方ばかり。その環境が苦しく、家に帰りたいと話し、退院。訪問看護で点滴をしてもらったりしました。そんなとき、父に大腸憩室が見つかり、入院しないといけなくなりました。父の入院期間中だけ、母も1人になってしまうので、入院してもらうように頼み、短期間ならと再度緩和ケア病院に入院しましたが、そこから自宅に帰ることはできませんでした。

仕事が終わっては面会に行き、母との時間を過ごしていました。「外食をしたい」と言っていた母と外出の予定を立て、2人で予約していたお店にご飯を食べに行きました。すごく楽しみにしてくれていて、ほぼ動けず、車中でもすぐに眠る様子でしたが、車椅子を押してご飯を一緒に食べ、買い物をして、病院に戻りました。翌朝、病院から「今すぐではないですが、呼吸が浅くなってきており、朦朧としているので電話はとれるようにしていてください」と連絡がありました。仕事を休み、母のもとへと駆け付けました。姉、父がそろったときに呼吸が止まりました。

丸屋:けい子さんへのメッセージはありますか?

みひろさん: 親は子どもが幸せで笑顔でいてくれたら幸せっていうけど、私はお母さんが今、幸せって思っていてくれたら幸せです。お母さんの娘に産まれてこれて本当に良かったよ!産んでくれて、愛情いっぱい育ててくれてありがとう。

(最初で最後の家族旅行の写真)

あとがき

みひろさんにインタビューのためにお会いしたのは2回目。あるキッカケがあり、連絡を取ったことから会話が展開し、お母様のお話を聴かせていただくことになりました。インタビュー数日前は、お母様が入院されていた緩和ケア病院に三味線演奏での慰問。そして、インタビュー当日はお母様の命日という、お母様が引き合わせてくださったのかというご縁でした。思い出の地での演奏は勇気がいることだったと思いますが、お母様はきっとその一歩進んだ姿を温かく見守ってあったと思います。ありがとうございました。

丸屋優子

福岡県久留米市在住。 「タクティールケア専門」メンテナースえんざくら 代表 看護師歴19年目であり、高齢者施設や訪問看護でじいちゃん・ばあちゃんの医療面でのサポートを実施。令和6年12月にココロとカラダを癒す究極の触れるケア(タクティールケア)を専門とした保険外訪問看護を開設。

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