昭和の女性起業家、令和はカフェ店長。85歳が届ける“おいしい人生”｜福岡県春日市

ばあちゃんプロフィール
高久保瑞子（たかくぼ　みずこ）
1939年（昭和14年）生まれ。85歳（2025年4月取材時）。
現在は、福岡県春日市にある「ぶどうの庭カフェ」で開催されている「ばあちゃん喫茶」（毎週土曜日開催）で店長を務めており、美味しい手料理を振る舞っている。今回は、店長みずこばあちゃんの若かりし頃について伺った。

85歳の現役店長！「ばあちゃん喫茶」で味わう昭和の手料理と人生

「私はね、大きい鍋使って、ドーンって作るのが得意もん！」

そう笑うのは、「ばあちゃん喫茶」の店長・高久保瑞子（たかくぼ みずこ）さん。
彼女が毎週土曜日に立つのは、福岡県春日市にある《春日まちづくりセンター》併設の「ぶどうの庭カフェ」。ここで開催されているのが、地元の人々に親しまれる「ばあちゃん喫茶」だ。
みずこばあちゃんの手料理は、ボリューム満点で家庭の味そのもの。「ここで料理を作ると、みんなが『美味しい』って言ってくれる。嬉しいねぇ」と、優しい笑顔を見せてくれた。

「だって、自分でやった方が面白かやん！」昭和を生き抜いた、たくましい女性起業家

そんなみずこばあちゃんは、昭和を駆け抜けた女性起業家でもある。

高校卒業後、彼女が就職したのは現在の福岡市・天神エリアにあった印刷会社。そこで出会ったものが、のちに人生を変えることになる「タイプライター」だった。数年間の勤務を経て、同僚の女性たちとともにタイプライター専門の会社を立ち上げた。当時はまだ、女性が事業を起こすことが珍しかった時代。今以上に社会の風当たりは強かったはずだ。「その時代に、なぜ起業しようと思ったんですか？」と尋ねると、「だって、自分でやった方が面白かやん！」と、みずこばあちゃんは豪快に笑う。

仕事は新聞に載るテレビ番組表や、テレビ台本の文字打ちなど。タッチタイピングもお手のものだったそうで、「仕事がね、すごく面白かったのよ」と懐かしそうに語ってくれた。

家庭も、仕事も、人生を味わって、「今もいい人生を生きてる。」

20代後半で会社を畳んだあとは、結婚。そして出産。子育ての合間にも、タイプライターの仕事を内職として続けていた。そのスキルは、今も活かされている。現在は、障がい者や高齢者を対象に、パソコン教室も開いているという。

「親からしたらね、育てにくい娘だったかもしれない。好きなことを好き勝手にするし、一筋縄じゃいかないもん」
と笑うみずこばあちゃん。

「仕事だけじゃなくて、いっぱい恋して、フラれて泣いた夜もあった。でもね、振り返ると、いい人生だったし、今もいい人生を生きてる」
と、85年の人生を振り返る。

「いいじゃない、今が楽しければ。」

85年の人生を通して、彼女がいま伝えたい言葉。それは、シンプルで力強いメッセージだった。
「いいじゃない、今が楽しければ。」
人生をたっぷり味わってきたみずこばあちゃんは、今月も変わらず「ばあちゃん喫茶」の厨房に立つ。
今日も大きな鍋で、心あたたまる料理と、深みのある人生をそっとよそってくれる。

あとがき

こんにちは。「ばあちゃん喫茶」を運営している、株式会社うきはの宝のインターン生・吉田愛彩（あいさ）です。今回は、福岡県春日市の店舗で店長を務める「みずこばあちゃん」にインタビューを行いました。実はこのWeb記事の企画は、みずこばあちゃんとの雑談の中で偶然生まれたものです。突然、「私、パソコン得意でね、実は昔起業したことがあるのよ」と話し始めたみずこばあちゃんに、私は思わず「ちょっと待って！ストップ！それ、記事にしてもいいですか？」と食い気味に許可を取り、急いでインタビュー内容を書き起こしました。みずこばあちゃんは、まだまだたくさんの話題を持っている方なので、今後もいろいろなエピソードをご紹介していきたいと思います。どうぞお楽しみに〜！

みずこばあちゃんが店長を務める「ばあちゃん喫茶 春日ぶどうの庭店」
ばあちゃん喫茶 春日ぶどうの庭店
〒816-0864福岡県春日市須玖北5丁目155
営業時間 11:30-15:00
ご予約は公式LINEから→ https://lin.ee/2ixNDOL