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74歳。「YAMEの山奥で自動車免許を持たないばあちゃん」福岡県八女市 農家・塗装業 春口静子

ばあちゃんプロフィール
春口静子(ハルグチシズコ)74歳。1950年(昭和25年)11月12日生まれ。福岡県八女市生まれ。結婚後は3女の子どもに恵まれる。元々農業をされてありましたが、親戚の塗装業へも見習いで行ってありました。そんな静子さんエピソードをインタビューさせていただきました。

周りの人から助けてもらって、育ててもらった。

丸屋:静子さんについて教えてください。

静子さん:ずっと八女市に住んでいます。18歳のときに部落が近くだったいとこ同士で結婚しました。当時、夫の自宅に嫁入りするのに車の通る道はなく、山道を片道20分以上歩いて行きました。結婚のときは着物を着て、高い草履をはいて、嫁入り道具(タンス、洗濯機など)を担いで歩きました。20歳のときに長女を妊娠。里帰り出産している間に、台風で倒れた杉の木を使ってご主人が自宅を建ててくれていました。

おばあちゃんとご主人の結婚当時の写真

(結婚するくらいの時に撮られた静子さんとご主人の写真)

丸屋:静子さんはどんな子育てをされてありましたか?

静子さん:自分は田舎に生まれて、本当は洋裁学校でもう少し勉強も出来たけど、早く嫁入りしたため、社会勉強できなくて子どもを育てるのに必死でした。自分の弟が大きな交通事故で命は助かったものの、後遺症が残っててんかんを起こしたりしていました。だから、交通事故も怖く、山の中に住んでいるけれど、自動車の運転免許証は取らず、移動手段は電動自転車でした。子育ても何でも、周りから助けてもらい、育ててもらいました。主人と一緒に外に出て社会勉強させてもらい、子どもたちも仕事の仲間たちから育ててもらっていました。

まさかの別れ…しょぼんとなる時間はなかった。

丸屋:静子さんの苦労されたことはあられましたか?

静子さん: 私が46歳のときに主人は50歳で亡くなりました。見た目は元気だったけど、体調が悪いと言われて病院に行ったら肝臓がんのStageⅣでした。親族で薬草を作っている人がいたので、それを土瓶で煮て1日越しに飲んでもらったりもしました。腹水が溜まっていると思って水を抜きに行ったら、水ではなくて血液が溜まっている状態。自分たちではどうにもできなかったので、最後は医師から説明をしてもらって入院してもらいました。同室にいるおばあちゃんは寝たきりで誰も面会に来られなかったけど、うちは親戚と交代しながら付き添いをしていました。面会に行くと断ってくれと睨みつけられていましたが、きつそうな姿を見せたくなかったからでしょうね。「こんな目には誰にでもあわせちゃいけん」と何度も言っていたのが印象的でした。今はホスピス病院とかありますが、当時はもう少し楽にできないかと思いましたよね。主人がなくなって数日後、足にばい菌が入って通院したり、初命日や四十九日に松葉杖で移動していたことも今では思い出話ですね。その状態で仏壇を購入しにも行きましたから。ふと仏壇の前で涙がでてきたり、風呂の中でも顔を洗って涙をみせないように、特に子どもの前では悲しい姿は見せないようにしてきました。けど、みんな協力してくれて、おかげさまで苦労ばかりの生活ではなかったです。

おばあちゃんとお孫さんのツーショット

(ご主人の亡くなる前あたり、静子さんとお孫さんの写真)

丸屋:今、これを読まれている方に伝えたいことはありますか?

静子さん: いろいろ人生は良いこと、悪いことあるけれど。無理にどうにかしようとはせず、クヨクヨせず、前向きに。良い方向になるような考え方で、一人で考えすぎない。「この世で出来た問題は、この世で解決できる」と聞いたことがある。相手がいてどうにかなるならいいけど、亡くなった人は戻ってこない。だからいい方向に考える。

あとがき

とある神社のお仕事関係でお孫さんと出会ったのがキッカケで、静子さんにも出会うことができました。ご主人と、もっと一緒に過ごしたかったんだろうなぁと会話の中からすごく感じる場面が多かったです。周囲から「静子さんは強いですね」と言われても、「落ち込んでても生き返ってくるわけではないから前向きにね」と笑顔で話され、そして周囲の方への感謝の想いを本当に持ち合わせてあり、静子さんのお人柄がとても伝わってきた時間でした。感謝をこめて。

丸屋優子

福岡県久留米市在住。 「タクティールケア専門」メンテナースえんざくら 代表 看護師歴19年目であり、高齢者施設や訪問看護でじいちゃん・ばあちゃんの医療面でのサポートを実施。令和6年12月にココロとカラダを癒す究極の触れるケア(タクティールケア)を専門とした保険外訪問看護を開設。

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