アートを通してシニアが自己表現できる機会「シニアペイントフォト」
皆さんは「シニアペイントフォト」というコンテンツを知っているだろうか?
約2年前の夏、僕がクラウドファンディングを立ち上げた。
「ペイントフォト」とは手に絵の具を付け、みんなで服や顔に付け合い、その過程を写真に残すというイベント。
若者や子供向けのコンテンツとして、人気になりつつあるもの。
それをシニアがするということを日本で初めて主催した。
僕はシニアフォトクリエイターとして、「写真とクリエイティブを通して、老いを楽しめる社会を創造する」ことをミッションにしている。2万人のシニアと出会い、本音と向き合ってきた結果、「アートを通して、シニアが自己表現できる機会を創りたい」と思い、「シニアペイントフォト」を立ち上げた。

最初は、手に絵の具を直接付けることに抵抗があるシニアが多かった。
クラウドファンディングも最終的に115%まで達成することができ、無事大阪府にて初回開催することができ、その後も佐賀県や広島県・兵庫県での介護施設にて開催することができた。
大阪府では、キャンプ場を貸し切り、佐賀県・広島県・兵庫県では、介護施設内で、ご家族や地域住民の方と一緒に開催した。お孫様と一緒に参加してくださる方や、施設のスタッフと一緒に楽しまれる方が多かった。
どのシニアも最初は、手に絵の具を直接付けるところから抵抗があり、「新しいことに挑戦し発見する」ということに抵抗がある方が多かった。その理由を深ぼってみると、「自尊心の低下」が顕著な方々が多かった。そのため、自尊心が上がるようなコミュニケーションを徹底することで、絵の具を指に付けたり、服や顔に付けてくれる方々が増えていった。


「私が天国に行っても、この活動は続けてね」「本当に心から楽しかった、自己表現ができた」
参加してくださった方々からは、本当に嬉しい言葉をたくさんいただいた。
その中でも印象に残った言葉をいくつかご紹介する。
参加してくださった99歳の女性から、「私が天国に行っても、この活動は続けてね」という感想をいただいた。ご年齢もあり、ご自身の死期を悟っておられた。だからこそ、「本当に心から楽しかった、自己表現ができた」という感情を伝えてくださった。また、シニアと一緒に参加してくださったお孫さん(20代後半の女性)からは、「今までおばあちゃんとは距離を置いてた。でもこのシニアペイントフォトを通して、おばあちゃんの新たな一面に出会って、おばあちゃんと向き合う機会になった、ゆっくりだけどおばあちゃんとの距離が近くなってる気がした、ありがとう」と。シニアペイントフォトを通して、ばあちゃんと孫との関係性が変化したとのこと。今までおばあちゃんとの間にあった壁が崩れ、家族の関係性と向き合うきっかけになったとのこと。おばあちゃんの新たな一面を見ることができたことで、おばあちゃんの「らしさ」に触れることができたことで、おばあちゃんの人生を受け入れることができるようになったと、お孫さんは語ってくれた。

一歩踏み出し、挑戦と発見を体感することで、「歳を重ねることが楽しくなる」
アートは自由。
だからこそ「何からしたらいいか、わからない」というシニアは多い。しかし、一歩踏み出し、挑戦と発見を体感することで、「歳を重ねることが楽しくなる」という未来に近づいた瞬間だった。「挑戦と発見を通じて、ポジティブに歳を重ねる」というAgeWelの概念を広めることで、Ageism(年齢差別)はなくなると感じている。アートという自分らしさを最大限に表現できるツールを使い、シニアもシニア以外も「自分らしさ」を大切にできる社会になることを祈る。





