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睡眠の質を高める生活習慣について|たろうクリニック通信 Vol.3

 健康の基本は、よく食べよく眠ることです。
様々な身体疾患や精神疾患に不眠症が関係しており、不眠症が生活の質を低下させることは皆さんもお感じのことだと思います。さらに、認知症に関連する脳の異常なタンパク質が睡眠中に排泄されるなど、十分な睡眠が認知症の発症を起こらせることや 進 行 を 遅 く す る こ と に 重 要 で あ る こ と も わ か っ て い ま す(参考記事:岡田理恵, 岡田悦政. 睡眠とアルツハイマー病― アミロイド β 蓄積の観点からhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/nbukiyou/23/0/23_KJD2023023081088/_pdf/-char/ja?utm_source=chatgpt.com)。
 そこで今回は、睡眠の質を高めるために気をつける生活習慣についてお伝えします。

起きる時間を固定する

 はじめに気をつける生活習慣は、「起きる時間を固定すること」です。人間はいつでも好きな時に眠れるようにはできていませんが、決められた時間に起きることはできます。つまり、眠れない時にはじめにやるべきことは、寝ようとするのではなく起きることです。夜眠れず寝付く時間が遅くなると翌日起きる時間も遅くなってしまい、睡眠リズムが崩れている方が多いです。前の日に寝た時間が何時であろうと起きる時間を固定することが重要です。今日は土日で仕事がないからとゆっくり寝ていると夜眠くなる時間が遅くなり寝付くのも遅い時間になってしまいます。これによって、月曜日に仕事で早く起きないといけないのに眠くて起きられないという事態が生じます。

寝付く時間にはこだわらない

 次に気をつける生活習慣は、「寝る時間にこだわらず眠くなったら床につくこと」です。私が医師になった頃は、毎日同じ時間に床につくよう患者さんに指導を行なっていました。しかしその後、眠くないのに床の中に長い時間いるとかえって抑うつの悪化などを引き起こすことが研究で明らかになりました。何時かに関係なく眠くなったら床につき、さらに、床に入り30分たっても寝付けない場合は一旦床を出るようにしましょう。

体内時計を利用する

 人間は、ほどよく疲れて、体内時計を利用することで眠っています。睡眠の質を高めるためには、日中に十分活動することが重要です。一日中ベッドの上で過ごしているようでは、満足した睡眠を取る事は困難です。寝床に入ると眠るということを脳にインプットさせるためにも、日中は寝床を離れるようにしましょう。体内時計を整えるためには、朝起きたらカーテンを開けて日の光を浴びるようにします。逆に夜眠る時間が近くなったら部屋の明るさを抑えるようにしましょう。また、寝る前にテレビや携帯電話の画面を長時間みるとブルーライトの影響で脳が覚醒し寝付きが悪くなるため注意が必要です。

必要な睡眠時間は人それぞれ

メディアではよく、「健康のためにはX時間眠る必要があります!」などと取り上げられていることがありますが、必要な睡眠時間は個人差が大きく、同じ人でも加齢にともなって必要な睡眠時間は短くなっていきます。赤ちゃんは一日中寝ている一方、お年寄りは朝早くに起きて活動しているイメージがあるかと思います。日中に眠気で困らなければ睡眠時間は十分だと考えましょう。

昼寝はOK、アルコールはNG

最近、昼寝をすることによって午後の仕事の効率がアップすることが注目されており、福岡市も「福岡100」の一環として昼寝を勧める#PowerNapというプロジェクトを行っています(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000101.000010201.html)。

 

 しかし、長すぎる昼寝は夜の寝つきを悪くします。30分以内にしましょう。次にアルコールに関して。寝酒といって眠るために飲むという方がいらっしゃいますが、お勧めしません。飲酒の睡眠に対する効果は、眠くなることと睡眠を浅くすることです。結果として、飲酒は睡眠の質を下げます。

最後に、これまで挙げた生活習慣を実践しても十分な睡眠が取れない方や、長時間眠っても日中に眠気が残る方、いびきや寝言がひどい方は、専門医を受診することをお勧めします。


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内田直樹(うちだ なおき)
医療法人すずらん会 たろうクリニック理事長。精神科医、医学博士。認知症の専門医として在宅医療に携わる傍ら、福岡市を認知症フレンドリーなまちと
ばあちゃん新聞編集部

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