読者のみなさん、はじめまして。滋賀県は長浜市という琵琶湖の右肩あたりで「着物から作ったシャツ屋」をしております、シャナリシャツと申します。2025年の3月からばぁちゃん新聞(紙のほう)で12ヶ月の連載をはじめました!この度、晴れて立ち上がったウェブ版でもコラムを書かせていただきます。これからタンスのあれやこれや、着物のあれやこれや、そしてシャツのあれやこれやをツラツラ書き綴っていこうと思いますのでお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします!
シャナリシャツってなに?
『タンスの肥やし。長年捨てられずにいたのにはワケがある。』シャナリシャツはそんな「捨てられない」「二束三文で売りたくない」という思い出の詰まった着物をみなさまから受け継ぎ、次の世代に繋ぐため、日常で着やすいシャツに仕立てています。この着物、いつか着るかも…と大事にとって置かれている方、とても多いのではないでしょうか。

私たちは着物を一からていねいにほどき、何種類かの着物を組み合わせて、新しい生地を作っています。こうして受け継いだ着物は世界に一着のシャツとなり、次の方へと渡っていきます。

シャナリシャツの名は「しゃなりしゃなりと歩く」という日本ならではの言葉からきています。気取って歩く様という意味なのですが、このシャツに袖を通すと誰もがそうなれるといいな、と思っています。
(ブランドのマークは菱川師宣作の見返り美人です!シャツに着替えました。)

着物と嫁入り道具と私たち
改めまして、私たちは(株)仕立屋と職人のワタナベユカリと石井挙之(たかゆき)と申します。ワタナベはシャツづくりを担当し、石井は紙面などのデザインしています。二人とも関東出身ですが、縁あって滋賀県長浜市に工房を構えてもうすぐ9年が経とうとしています。
長浜市は浜ちりめんという白生地の産地で、着物文化が身近にある土地です。ちょうど私たちの親世代の地元に住む方々は「嫁入り道具として桐タンスいっぱいに着物を詰めて持たされた」というお話や「ご近所親戚がタンスの中身を見にきた」なんて逸話をたくさん聞かせてくれました。それはさぞかし気合いが入っていたことでしょう。また、ワタナベは亡くなった祖母の着物を整理した際に、アッサリと安値で引き取られていくその無機質な光景にモヤモヤした気持ちを抱く経験がありました。石井の祖母は兵庫県で小さな呉服屋を営んでいて、幼少期から反物に触れる機会が多かったことなど、私たちはどこかで自然と着物に触れていました。こうした偶然とも必然とも思えるようなキッカケが重なり、2023年にシャナリシャツを始めることになりました。
これから1年間の連載が始まります。5月下旬にはなんと!「ぶどうの庭」さんで着物の譲渡会やオーダー会を行います!見に来るだけでも大歓迎です。ぜひ遊びにいらしてください。